はじめて金魚を飼うかたへ
金魚の手引き
夏祭りの「金魚すくい」などで、誰でも一度は目にしたことのある金魚。でも飼ってすぐに死んじゃったという経験をした人も多いと思います。
そこで、金魚飼育の始め方をわかりやすく解説いたします。
お祭りでもらった金魚でも、安く買ったとしても立派な命。
馴れると飼い主を覚えてくれる可愛いペット、金魚。
そんな金魚たちに元気に長生きして欲しい方は是非ご覧ください。
はじめに
水槽選び
まずは水槽を準備しましょう。熱帯魚屋やホームセンターでは10L~50Lぐらいの水量が入る初心者向けセットが売っていますので、ひとまずそれで良いです。
最低限必要な物は、水槽、カルキ抜き、エアポンプ、エアチューブ、エアストーン(又は投込み式フィルタ)の以上5点です。
推奨初心者向け金魚水槽セット
定番の投込み式フィルタにブクブクも付いているのでとりあえずこれで大丈夫です。
他のメーカーの商品もありますが、以下の商品は交換フィルタやその他の消耗品が手に入りやすいのでおすすめ。
参考水槽サイズ
30cm水槽 | 手軽に導入できるコンパクトサイズ。←コレが上記のセット |
---|---|
45cm水槽 | 2匹位飼おうと思うかた向け |
60cm水槽 | 家庭に置くには最もスタンダードなサイズ |
90cm水槽 | 少し大きめの金魚を混泳させたいかたに |
120cm水槽 | 10cm以上の金魚を多数混泳させたいかたへ |
金魚の飼育用品を販売している大手メーカーサイト
金魚の飼育に欠かせない飼育用品を製造・及び販売しているメーカーのサイトです。
- 水作/メダカ、金魚に圧倒的な信頼性を持つフィルターと言えば水作エイトシリーズ。プロショップや問屋にも愛用される商品。
- GEX(ジェックス)/日本全国どこのホームセンターにも置いて有る国内最大手メーカー。とにかく安くて商品が豊富。くわしい店員さんがいる店を見つけたら勝ち。
- Tetra(テトラ)/水作、GEXと並ぶ、小型観賞魚の飼育用品ではホームセンターなどで幅を利かせているドイツのメーカー。
- 寿工芸/生活ロマンを想像する大手なので安心。個人的には寿工芸製ヒーターの信頼性は国内ナンバー1。
- ニッソー/株式会社マルカンのアクアリウム部門。豊富な商品群と洒落たデザインの水槽とキャビネットならニッソー。ここもヒーターの信頼性は高いです。
- キョーリン/当然の事ながら金魚も食事をします。食いつき抜群、衛生管理は万全。安心、安全なエサのキョーリン。
メーカーにより得意不得意があるので、詳しい事は熱帯魚店の店員さんや、知人友人などの「俺(私)詳しいよ」と言っている人に聞いてみましょう。
飼育用品を売っていそうな地図
以下は、主にアクアショップの地図です。
検索結果に実店舗ではない当店(ネット専門アクリル水槽屋)も出て来る時点で確実な情報ではないので、電話で問い合わせてから行きましょう。
Googleマップで金魚水槽を探す
こちらはホームセンターになります。出てくるのは大手チェーン店なので大丈夫だと思います。「とりあえず飼育セットが欲しい」という時に。
Googleマップで最寄りのホームセンターを探す
地図に掲載されている店の営業日時はGoogleの表記と異なる事が多々ありますので、かならず電話で確認しましょう。
金魚水槽の設置
金魚を買い(すくい)に行く前に飼育用水槽をセットします。
場所は室温があまり変わらない場所に設置するのが飼育しやすくなるコツです。直射日光が当たる窓辺、エアコンの風が当たる場所は水量の少ない小型水槽は水温変化が激しくなるのでさけましょう。
底砂をしく場合は水道水で水洗い。洗剤に含まれる界面活性剤が金魚に毒になるので、洗剤は使用しないで水道水で洗いましょう。
注意!たまにアクア用品では無いオブジェを水槽に入れて金魚をみな殺しにする人がいますが、オブジェは良く確認してから購入しましょう。使っちゃいけない接着剤や塗料が使用されていませんか?人間から見ればかわいい雑貨も、金魚にとっては毒になる事もあるので気をつけましょう。
水槽の底に底砂をしく場合、水槽に底砂をしいてからエアチューブにつないだエアー(ブクブク)とエアポンプをセットします。また、用意していれば水草やシェルター(隠れ家)などのオブジェを置きます。
底砂は必要?問い合わせで良く聞かれますが、底砂は自己満足の世界なので初心者には不要です。定期的に底砂もメンテナンスをしないと雑菌がたまり病気の元になるのでベアタンク(何も敷かない水槽)での飼育をおすすめします。
水槽の水作り
セットした水槽に、金魚用の水を作ります。水道水で良いので水を水槽に規定量(8割程度)入れ、カルキ抜き(塩素中和剤)を入れたらエアポンプで水を循環させます。
数時間水を循環させることで塩素が中和され金魚にとって毒を抜くことが出来ます。カルキ抜きは水量に応じて適量を入れましょう。出来れば、このまま丸一日ポンプで水を回し続けたあとに金魚を入れるのがベストです。
水槽に規定量(8割程)の水とカルキ抜きを入れてから水を循環させます。
観賞魚用ライトなどの照明器具も同時に購入した方によくある間違いが、照明を24時間つけっぱなしや、反対に人が寝る時にうるさいからと言ってブクブクを止めてしまうのはダメです。
水槽は照明は朝から夕方まではつけて、夜は消しましょう
エアポンプ〈ブクブク〉は金魚が生きている限り24時間つねに稼働させます
金魚の水温「金魚にヒーターは必要?」
一般的な金魚は、2℃~30℃の水温に耐えられます。屋外でも越冬出来るほど低水温にも強いですが、小一時間で5℃以上の急激な水温変化には弱いです。屋外飼育の場合そんなにありませんが、人間の生活では夏はクーラー、冬は暖房で一日の間でもかなり室温が変化して水槽もその影響を受ける事になるので、室内で飼うには部屋の一日の温度差を知っておく必要があります。
金魚にヒーターを用意するならコレ↓
小型ヒーターなら信頼度抜群
秋から冬にかけ明け方から日中で5℃以上室温が変わってしまう部屋ならヒーターは必要です。と、言っても暖めるわけではありません。たとえば、室温が夜から明け方にかけ26℃→15℃以下まで下がる事があるときは温度調節が出来るヒーターの設定を16℃ぐらいに設定して急激な水温の下降をふせぐ目的で使います。
夏にも注意 冬と反対に、夏は室温が30℃を越えて水槽内も近い水温になると、酸素濃度が下がり酸欠で死ぬ事があります。そんな時は送風機(観賞魚用ファン)等で水面に風を当てたり、エア(ブクブク)を強めにして水中に溶け込む酸素を増やす必要があります。
ポンプから出るブクブクを金魚が吸うわけではなく、気泡が上がる事で水が動いて酸素が水中に溶け込んで金魚の呼吸がラクになります。
金魚の購入。金魚の数「何匹までいれても良い?」
いよいよ目当ての金魚の購入ですが、初めて金魚を飼育する方がおちいりやすい失敗が、水槽の許容範囲を超えた数の金魚を入れてしまう事です。
ここでは水槽サイズに対して入れられる当店が推奨する限界の生体数を紹介します。
30cm水槽 | 5cm前後の金魚2匹 |
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45cm水槽 | 5cm前後の金魚3匹 |
60cm水槽 | 5cm前後の金魚5匹 |
90cm水槽 | 5cm前後の金魚7匹 |
120cm水槽 | 5cm前後の金魚10匹 |
※当店推奨の最低限飼育セットの場合です。上部濾過槽や外部フィルタを使用しての飼育時は、この数字を越えても問題ない場合があります。 |
金魚の種類
金魚と言ってもそこそこ種類がいます。以下は、かなり大雑把な金魚の種類です。
- 和金 、朱文金、コメット等
「金魚」と言えば「ああ、アレね」というのが和金です。フナのようなスタイリッシュな体型の和金。「金魚すくい」で良く見られる、弱り切っている個体をすくって来た場合でなければ丈夫な部類です。
ただ、健康な上に、環境を整えてしっかり飼っていてハマると30cmクラスになる事もあるので、その時が来たら大きい水槽を準備しないとならなくなります。
- 琉金、オランダ、キャリコ等
丸い体型に長いヒレ、見た目優雅な金魚です。見た目の美しさにくわえ、可愛いらしい泳ぎが特徴で種類が多く存在します。「金魚すくい」でもこの種類は良く見られますが、痩せている個体は弱っている事が多いので連れて帰ってから立て直すのには努力と根気が必要。
- 出目金
金魚すくいで良く見かける黒いタイプの出目金。赤くて小さい和金と一緒に泳いでいる事が多いですが、実際は琉金タイプになるので飼う時は別々にしましょう。あと、黒い出目金は個体によっては育てている内に色が抜けて普通の出目金になる事があります。
- 樽型、又はらんちゅう型
魚類なのに背びれがない金魚。水槽内でターンするしぐさが可愛い金魚です。飼育難易度は高め。
- ピンポンパール
水流が苦手、そして海外産は低水温に弱いという、意外と飼育難易度は高い種類。水流の強い水槽で飼育していると泳ぎ疲れて「バテ死」する事があります。尚、ピンポンパールと類似した金魚にパールスケールという金魚がいますがパールスケールはそこそこ泳げます。
- 小赤(コアカ)
祭りで良く見る金魚です。大型魚の生き餌にされる事も多いですが、まれに生き延びて池や川などで巨大化する幸運と不屈の根性を持っている奴もいます。祭りの小赤はトロ船が汚れないように餌もロクに貰えず命からがらすくったお客さんの家にたどり着きます。「どうせ安いから」などと言わずにバッチリ設備を整えて大事に飼ってあげて欲しいです。
どの種類の金魚にも言えますが、産まれて間もない当歳(生後一年未満)の金魚やストック状態がイマイチの金魚は雑に飼っているとわりとすぐ死にます。相談いただくほとんどの方は、瀕死になってからネットで調べたり慌てて薬を投入しますが手遅れの事が多いので、飼い始めたらしばらくは毎日必ず観察してようすをみましょう。
さて、金魚を購入したらすみやかに自宅に帰り、最も重要な「水温と水合わせ」を行いましょう。
※熱帯魚屋で購入した金魚はフィッシュバッグ(金魚を入れるビニール袋)に酸素を入れて貰えるので帰宅するまで半日位なら酸欠の心配は無用ですが、水量が少ない小さいフィッシュバッグは水温変化で金魚に負担がかかるので早く家に帰りましょう。
金魚の水温と水質を合わせる
金魚を連れて自宅へ帰り水合わせをおこないます。ここが導入時にもっとも重要です。
水温合わせ(持ち帰った金魚の入った袋の水温と自宅水槽の水温を同じにする事)と、水合わせ(水槽の水と持ち帰った袋の水をなじませる作業)の2つの作業を行います。持ち帰った金魚入りの袋を開けて自宅水槽へいきなりドボンだと、水温と水質がちがいすぎて金魚が弱ったりショック死する事があります。
金魚が入った袋をそのまま水槽に浮かべて※1時間程度待つ。(袋の中の水温と水槽の水温を同じ温度に近づける。酸素が充てんされていない手さげ袋の場合は半分程度の時間)
※購入した店のストック状況(店内か屋外か)や帰宅するまでの時間により水温合わせの時間は変わりますので、購入した店にも聞いてみて下さい。
水温がなじんだらフィッシュバッグを開けて水槽の水をコップなどで少しづつ金魚の入っているフィッシュバッグに入れる。(この時、金魚のエラを良く見ましょう。水質が違いすぎるとエラの開閉スピードが異常に速くなったり忙しい泳ぎになります。
その時は落ち着くまで様子をみて下さい。慣れて来たら先ほどより少ない水槽の水をたしてみます。平気そうならコップ1杯分の水槽の水を1~2分間隔で少しづつフィッシュバッグにつぎたします。
水槽の水をたし続けるとフィッシュバッグの水が一杯になってきますので、一度袋の口を水がこぼれる程度に手ですぼめて水だけ自宅水槽に20%ぐらい戻して2の作業にもどります。以上の作業を数回くり返すと、フィッシュバッグの中の水がショップの水ではなく、ほぼ自宅水槽の水に替わっていると思いますので水合わせは完了です。
いよいよ水槽の水と同じ状態になったフィッシュバッグを水槽にしずめて金魚を水槽内へはなします。
この時、水槽の水があふれそうなら、あらかじめ余分な水は捨てておきましょう。
金魚をはなした後は、どんな泳ぎをするかじっくり時間をかけて観察して下さい。
他の魚種にも言えますが、金魚にとって引越しは大きなストレスです。元気な金魚は水槽内をまんべん無くヒレを広げて元気一杯に泳ぎ、ストレスを感じた金魚はヒレをたたんで隅の方でじっとしていたりと個体差もあります。そんな個体は慣れるまでに1週間ぐらいかかる事もありますので毎日しっかり観察しましょう。
もちろん、名前を付けるのと話しかけるのも忘れずに。
金魚の餌
当歳(生後1年未満)で10cm以下の金魚ならエサは毎日でも良いですが、2歳になり10cmを越える位になったら2,3日に1度で大丈夫です。1度にあげる量は2分で食べ切る量にして下さい。金魚は胃が無いので食べた分はフン(※)になって押し出されてきます。あげ過ぎると消化しきれないエサが腸が詰まって死ぬ事もあります。
可愛いのはわかりますがエサのあたえすぎに注意しましょう。又、ヒーター無しで飼っている場合、冬に水温が10℃を下回ってくるとあまり泳がなくなったりエサを食べなくなります。その場合、餌は週に1度(個体差あります)でも大丈夫です。
どのエサが良いのか迷った時は↓
ここの会社のエサなら間違いはないと思います。
※白いフンが出たら要注意。半透明や白いフンが出ている時は、金魚は消化不良をおこしているので、その日はエサをあげないようにしましょう。又、与えるエサの種類によっては当たり前のように白っぽいフンが出るので、エサを購入する時にショップで確認しましょう。
金魚水槽の水替え
金魚を飼育する上で最も大事なのは、水質と水温のキープです。水槽の水が汚れるのを放っておくと水質が悪くなり金魚は病気になります。濾過フィルタで水のキレイさをずっと維持する事が出来れば水替えは不要ですが、家庭の飼育設備ではまず不可能です。そこで水槽の水を新しいキレイな水に定期的に替える「水替え」が必要になります。
「金魚が病気になったみたいです」と来る問い合わせの殆どは長期間水替えをしていない。毎回一気に水を全部替えている。水槽の濾過能力をこえて過密な数を飼育している。水温変化が激しい所に水槽を置いている。事が多いです。
定期的に水を替える事が出来ていれば、そう金魚はそう簡単には病気になりません。
当店推奨の飼育環境なら3日に1度、水槽の3分の1程度を新しい水に替えればまずまずの水質維持が出来ます。
水槽の1/3程度の水を水替え専用ホースか、目の細かい網とバケツを使いフンと一緒に水も捨てます。
汚れがなくなり1/3の水を捨てたら新しい水を水槽に入れます。ここで使う水は水替え前日にカルキ抜きを入れ1日くんで置いて作ります。水槽と同じ部屋にくんで置いておく事で、室温と同じ水温の塩素が抜けた水が作れます。この水を使うことで、急激な水温変化に弱い金魚の水替えがラクに出来ます。
おすすめ商品・便利グッズ
画像で使用の水替え道具《プロホース》はおすすめです。
水作メンテナンスグッズ
安くて豊富な商品群を誇るGEXの商品もおすすめです。
GEXメンテナンスグッズ
金魚の様子がおかしいときは
水替えをしっかりしていても、エサを与え過ぎていなくても、人間と同じで病気になる時はなります。
そんな時のために普段から観察を心がけましょう。
観察していて以下の症状が出たら何かの病気の疑いがあります。
白い点々が有る | 白点病の疑いがあります。 |
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ヒレに白いモフモフしたものが有る | 水カビ病の疑いがあります。 |
口に白いカビみたいなのがついてる | 口ぐされ病の疑いがあります。 |
尾ビレや腹ビレがギザギザになっている | 尾ぐされ病の疑いがあります。 |
身体から糸みたいなのが出ている | イカリ虫の疑いがあります。 |
ウロコに血が滲んでいる | 穴あき病の前触れかも知れません。 |
松ボックリっぽくなっている | 松かさ病の疑いがあります。 |
底に沈んでじっとしている | 寝ているか、その金魚は水温か水質に不満があります。 |
おなかが上を向いている | 転覆病か、おなかにガスが溜まっています。 |
細かい症例は、当店webサイトの観賞魚の病気についてをご覧ください。
本来、薬は使わないに越した事はありませんが、もし病気の疑いがある様でしたら早い段階で近くのアクアショップに相談して下さい。
しかし、いきなり「ウチの金魚病気ですか?」だと店の人も答えにくいと思います。そこで飼育している環境として、(1)水槽サイズ(2)設置場所(3)水槽に入っている種類と生体数、(4)水替え、エサやりの頻度と現在の水温(ヒーターの有無)(5)いつから飼い始めたかを伝えてからだとショップの人も的確な答えを返しやすいので、最低でも以上の5点を伝えてみて下さい。購入した店などの詳細も分かれば分かるほど店側も手を打ちやすいと思います。
金魚をはじめて飼う方へ
昔からペットフィッシュとして愛されている金魚ですが「金魚は短命」と思っている人が多いのも事実です。「ウチの金魚が病気みたいなんですけど、、」と、ご相談いただくお客様のほとんどが長期間水を替えていなかったり、無茶な環境(特に混泳)での飼育をしている方が大半を占めます。
しかし、たしかな飼育法で水質のキープとエサやりに気を付けながら観察していれば長く付き合える日本を代表するペットフィッシュ、金魚。
馴れた個体は飼い主の手から餌を貰い、人間や部屋の様子を識別できるまでに人馴れする金魚。ペット不可の住宅が多い現代日本の住宅事情でも、ペットとして金魚を買うのは簡単ですが、飼い切るのは簡単ではありません。命を買う以上は責任を持って飼いましょう。
このページを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。