アジアアロワナの手引き

アジアを一生飼い切る為に必要な水槽サイズは、魚種によりますが最低でも、幅150cm奥行60cm高さ50cm以上の水槽になります。
これより小さい水槽だと狭い環境によるストレスでの飛出事故、小水量による水質維持の困難さで病気になりやすいので、150cm以下での終生飼育はかなり厳しです。
アジア自体は安価な魚種なら3万円程度で購入可能ですが、飼育下の寿命は15年程度になり大型化するので導入にかかる費用は、魚・水槽・濾過槽・ポンプで総額20万円は必要になります。
加えて光熱費、エサ代が愛魚が寿命を迎える日迄かかります。以上の事が必須でも飼おうと思う方が、アジアアロワナだけで無く、生き物を飼うスタートラインに立てると考えます。

令和6年一部改訂

水槽えらび

まず初めに水槽えらびです。いきなり成魚を購入する場合は最終サイズの水槽が必要ですが、幼魚(15cm前後の魚)から始める場合90cmサイズのガラス水槽でも始められるので格段にハードルは低くなります。又、幼魚から始める方が多数ですので熱帯魚屋で目当てのアジアを見つけてから水槽を購入しましょう。
※幼魚をいきなり150cm以上の水槽に入れると広すぎて驚く事もあるので、最初は仕切り板(セパレータ)で区切るか、アジアのサイズに合わせた水槽を購入しましょう。

※ショートボディと言われるアジアは、本来必要なサイズの水槽でなくとも一生飼い切るのが可能な事も有ります。しかし、ショートボディと言うと聞こえは良いですが、正確には奇形種なので通常のアジアより飼育にかなり神経を使います。


水槽えらび

注文の割り合いが多い水槽

オーバーフロー水槽


よく「他の人はどんな水槽の板色を注文するのか?」という質問が来ますので、
受注内容的にアジアの飼育が目的なのでは無いかと思われる受注の割合を纏めた表が以下になります。

120~180㎝水槽の板色受注割り合い%(だいたい)
オールクリア48%
底面のみブラック11%
底背面ブラック25%
4面ブラック7%
その他(ホワイト、3面色付含む)9%
2013年~2023年末迄の集計になります
  • 当店からは4面ブラックを勧める事は無いので他店だと違う結果になると思います。
  • 個人的には底面のみ光を反射しないマットブラック仕様が生体には最良と感じます。
  • 個体差有りますが、水槽が狭いと上に飛ぶ奴が居るので蓋はt5ネジ留めがお勧めです。
  • 見積もり時、たまに「水槽前後面の板厚10mmで側面だけ13mm」という要望が有りますが、水槽内壁に対し水圧は四方へ均等にかかるので側面だけ板を厚くしても意味は有りません。
    均等に板厚4面の厚みを増すか厚みが足りない場合は水槽高を下げた方が良いです。


飼育環境

 初めてアジアを飼育する方は購入したら早く水槽に入れたいと思います。しかし水が出来る前に魚を入れないとすぐ死ぬので、まず水を作ってからにしましょう。
 水槽をセットしたら水道水で良いので水槽に8割程度に水を張ります。次に予めセットしておいたポンプとヒーターの電源を入れ、水が循環している事を確認後、ヒーターの設定温度を27~30度にします。そこから丸24時間以上待ち、人口餌で育てたい場合はこのタイミングで市販の調整剤(バクテリア等)を入れます。
 生き餌(昆虫や小型魚)等で飼育したい場合、ここでパイロットフィッシュ(テストフィッシュ)を投入します。テスト向きの魚は、アカヒレ、メダカ、コアカ等の小型魚を水槽に応じた匹数(60cm水槽ならメダカ20匹前後、小赤などの金魚なら10匹程度。)投入します。

小赤と呼ばれる金魚は寄生虫がいる事が有り、後に入れるアジアに感染する事も有るので当店は非推奨。寄生虫の駆除には強力な薬を使用しなければならないので、失敗するとアジアもろとも死にます。
市販バクテリア派も、テストフィッシュ派も、このまま※20日~30日ほど水槽の水を循環させ続けます。その間、テストフィッシュは餌を与えて普通に飼育して下さい。20日~30日経ったら、PH、亜硝酸、硝酸塩等の数値を測定し問題が無ければ、アジアを水槽に投入します。

※既に飼育可能な出来上がっている水槽の飼育水「種水」を魚を買った熱帯魚屋や友人等から貰える場合に限り数日あれば大丈夫です。水道水と市販のバクテリアやテスト魚のみで新規立上げの場合は最低一ヶ月以上かかると思って下さい。


水作り

アジアの種類

アジアアロワナの種類

  • スーパーレッド(紅龍)赤味の強いアジアアロワナ。個体差は有りますが、これが赤。という仕上がりになるスーパーレッドは赤くなると言われる生体を高額で購入しても赤くはなりません。赤く仕上げるのに必要な事は赤くなる飼育環境を整える事です。
  • マレーシアゴールデン(過背金龍)文字通り背中まで金色になるアジアアロワナ。
    ※正式名称では有りませんが、背中まで金色にならないマレーシアゴールデンを日本ではハイバックゴールデン(高背金龍)と名付け過背金龍より安価に販売されているのを見受けます。
  • スマトラゴールデン(紅尾金龍)全身金色にはなりませんが、体表が派手な金発色になるアジアアロワナ。スーパーレッド、マレーシアゴールデンよりも安価で流通している事が多く、スプーンヘッドと言われる口先の尖った顔立ちになる個体も居る為、色よりも形に拘る方には人気のアジアアロワナです。
  • グリーン(青龍)アジアアロワナでは最も安価な事も有り入門魚的な位置付けです。というのはひと昔前の話で、現代では原種に近いグリーンは希少になりつつ有るアジアアロワナです。飼い込めば極めて綺麗な光沢の発色を魅せるアジアアロワナ。アジアアロワナの中では気性が最も荒く、混泳させるのは不向きな種類です。
  • バンジャール(黄龍)インドネシア、バリ島のバンジャール地方原産のアジアアロワナ。個体差により後方三鰭が、イエロー、オレンジ、レッドに染まります。
    ※後方三鰭が赤くなる個体には、バンジャールレッド等の呼称が有りますが、ただの商業名なので気にする必要は有りません。

インターネット等では、○○レッド、○○ゴールド。等の、様々な名前のアジアアロワナを見ると思いますが、それは東南アジアや国内ショップが差別化の為に勝手に付けた商業名なので気にする必要は有りません。
 加えて、近年は殆どハイブリッド(混血種)の為、原種には無い特徴を持つアジアが大半です。
 アジアアロワナは長い付き合いになる魚です。ブランドに拘らず「この形が美しいから」や、「人懐こいので気に入った」等の理由が充分です。メディアやネットの情報に惑わされず、己がこの魚なら最後まで面倒を看たいと思った魚を選んで購入する事を強く推奨します。

※たまに、飼育に飽きたら店に下取りをさせて新しい生き物を買おう。という非常に残念な話を聞きますが、下取り前提なら高級車やブランドロゴがこれ見よがしにプリントされている鞄の方が後で高く売れるのでお勧めです。

放流と称して河川などに遺棄するのは絶対に止めましょう
アジアアロワナ

アロワナショップ選び

今ではネットオークションなど様々な販売形態がありますが、飼えば10年以上の付き合いになるので、信頼出来る店から買う事を強く推奨します。ネットでの購入も実績の有る店なら良いですが、オークションサイト等で素人同士の売買は揉める原因になるので推奨致しません。
オークションで素人から購入するよりも信頼のおけるショップなら、輸入時のCITES(サイテス)登録票の発行や、店自体での状態確認、販売までにかかる餌代や光熱費などの経費も乗るので、購入価格はオークションより高くなります。しかし購入後のフォローもしてくれる店から買う方が絶対に良いです。
以上の事から、実店舗、又はSNSでは無く正規webサイトが有り、販売価格を明記している事、且つ代表者と電話で連絡が取れる店なら大体は大丈夫だとは思います。念の為にGoogleで検索や、そこそこ大きそうな都市の熱帯魚屋に電話して聞いて見るのも良いと思います。

都内近郊でアクリル水槽でストックしているアロワナを見られる店
店長の本間氏が丁寧にアジアアロワナの説明や選別をしてくれる良心的な店。
水槽は埼玉のアクリル水槽屋を勧めて来ますので、是非そちらで購入して下さい。

アジアアロワナ・熱帯魚販売専門店 アクアリウムプロショップ →ピンポイント
都内近郊で有名処のアジアアロワナが見られる店
埼玉のポンティアナ、ラフレシア、千葉のアクアルビー辺りが昔から有名です。

最新情報は八王子ピンポイント、千葉のTHE SHINE(シャイン)辺りが詳しいので聞いてみましょう。中国、四国地方の方はSHINE代表の友人、AQUAS YANO (矢野)さんへ。

エサメーカーの営業マンが言っていましたが、関西地区で飛びぬけて評判が良いショップのアクアショップKGさん。混泳魚やその他、関西地区でアクアの相談はKGさんがお勧めだそうです。
アジアの混泳魚に選ばれる事が多い底物(ポリプテルス)。気さくで明るい底物好きのオーナーなので気軽に相談出来る底物屋。さん。ショップオリジナルグッズも充実。



CITES 絶滅する恐れの有る野生動植物の種の国際取引に関する条約。

自宅水槽へ放す

購入したアジアを自宅水槽に迎えます。家に着いたばかりのアジアは、袋詰めのままの輸送や水温変動によりストレスを感じています。水合わせ(家の水槽の水と、袋の中の水を馴染ませる作業)を丁寧に素早く行います。

水合わせのかんたんな方法

  • (1)アジアが入った袋を、袋のまま水槽に浮かべ1~3時間ていど待つ。(袋の中の水温と、水槽の水温を同じ温度に近づける為。)※袋内の酸素量が充分にパッキングされていない場合は、袋の口を開けエアチューブを隙間に差し込みエアレーションをかける。※ショップによって方法が違うので、詳しい事は購入したショップから聞くのが一番。
  • (2)袋の水温が自宅水槽の水温と馴染んだらアジアが入っている袋を開け、水槽の水をコップ等で少しづつすくってアジアの入っている袋に入れる。(この時、魚のエラの動きと全身の動きを良く観察する事。余りにも水質が違い過ぎると、エラの開閉速度が高速になり驚いた様な動きに、、。その場合、様子を見つつアジアが落ち着くまで待つ。落ち着いて来たのを確認出来たら又少しづつ水槽の水をアジアの入っている袋に足し続ける。平気な様子なら、水槽の水、コップ1杯分を1~2分間隔でアジア入った袋につぎ足して行きます。
  • (3)袋に水槽の水を足し続けると水が一杯になって来るので一度袋の口を手で塞ぎ、排水溝に水だけを捨てる。以上の作業を2~3度繰り返すと袋の中の水がほとんど自宅水槽の水に替わっている事になります。
  • (4)ここで袋を水槽に沈めてアジアが驚かない様に水槽内へ放し、すぐ水槽の蓋を閉じます。言わなくても皆やると思いますが、その後しばらくは水槽内のアロワナの泳ぎを観察する事もお忘れ無く。


    水合わせ手順


    水中ポンプ、サーモスタット、ヒーターは必ず予備を用意しておきましょう。
    特に、冬にヒーターが壊れると良くて調子を崩す、最悪の場合は死ぬ個体が出ます。サーモスタット、ヒーターはコトブキかニッソーがお勧めです。ここだけはケチらず必ず予備と一緒に持っていて下さい。

終わりに

白亜紀からほぼ進化無しで現代まで生きている魚種だけ有り、病気にも強く、成魚になれば2週間程度ならエサを食べなくても大丈夫なので仕事で毎日帰宅が出来ない方も飼育可能なペットフィッシュです。
絶対に気を付けたいのはアジアの死因トップは飛出し事故なので、蓋だけはしっかりと閉めてアジアの突破力に負けない蓋にしましょう。

アジアアロワナはマニアだけの世界にしておくには勿体無い可愛いペットフィッシュです。ご自宅の飼育環境や家族が許す方は、アジアアロワナを家族の一員に迎えるのも良いかも知れません。

古代魚の大型アクリル水槽

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