アクリル水槽の板厚 重量

アクリル水槽

アクリル水槽の板厚

水量100L以上のアクリル水槽の当店推奨の板厚になります
幅(W)奥行(D)よりも、水を張った状態の水面の高さ(H)が水槽の膨らみに影響がでます

水面の高さ(H)推奨板厚(t)
100~400mm6or8mm
401~500mmまで10mm
501~600mmまで13mm
601~750mmまで15mm
751~900mmまで20mm
901mm以上25mm以上

本来、推奨板厚13mmのH600mmの水槽でも半分程度の水位で使用するという場合は
板厚10mmで耐えられる事もあります。
なお膨らむ=決壊という事ではありません。

板厚30mm

参考w1550×d700×h700 t30 手モデル 知人のツベル氏(日本人)

水を張ったアクリル水槽の大まかな重さ

水槽の重さの大部分を占めるのが水です。検討している水槽がどの位の重さになるかを以下フォームで参考頂けますと幸いです
※数字を半角で入力

Lagoon水量s 水槽幅W(cm)

水槽奥行D(cm)

水面まで高さH(cm)

水槽の水の重さ



※水1リットルを1kgとした時の重さになります。
これに、水槽含め機材の重さを合計した物が水槽セット一式のおおよその重量になります。

一般的な重量物

約30kg冷蔵庫100L(単身者向け)
約60kg冷蔵庫300L(2~3人家庭向け)
約70kgベッド(キングサイズ)
約100kg冷蔵庫500L(5人家庭向け)
約250kg自動販売機(空の状態)
約400kg自動販売機(商品満タン時)
約740kgキャリイ(スズキの軽トラック)

アクリル水槽の重さ
水槽本体の重さは、板の縦×横サイズ×キャスト板の比重(1.2)で板1枚辺りの大まかな重さが分かります。
例)W1200×D600×H500mm水槽、側面板厚10mm底面8mmの場合

前と奥の板120cm×50cm×1cm×比重1.2=7200g×2枚
側面の板60cm×50cm×1cm×比重1.2=3600g×2枚
底面の板120cm×60cm×0.8cm×比重1.2=6912g×1枚
上部リブフランジ2000g程度

前後2枚で約15kg弱、側面2枚が7kgちょっと、底板7kg弱。これにリブフランジで大体30kg強。
水槽に入る水が約350Lなので、水との合計重量は約380kgになります。

重さは水槽の仕様や水量により前後しますので目安としてお考え下さい。
※塩ビ板の場合は比重1.35。

アクリルの接着方式

第1世代(FGA)一般的に溶剤接着と言われます。
硬化剤から構成されますが、硬化時に化学反応が起こらない接着剤。
第2世代(SGA)一般的に重合接着と言われます。
第1世代とほぼ同じ組成からなりますが、モノマーとポリマー間の重合反応により硬化が起こるのが第2世代です。
接着、耐久性が第1世代より優れています。
第3世代(TGA)生長重合接着
紫外線や電磁波を照射する事でラジカル重合反応を開始し硬化させます。
おもな用途は電子部品や液晶パネルなどの接着。

第2世代接着剤は、二液型・一液プライマ型・一液型に分類されます。
二液型はA剤(重合開始剤)、B剤(硬化促進剤)の2液から構成されますが、主成分は基本的に同一でアクリル系モノマーとエラストマーから構成されます。
一液プライマ型は二液型の硬化剤をプライマに置き換えたもので、二液型と同様にラジカルが発生して硬化が進みます。
一液型は加熱により活性化する触媒が添加されているタイプであり、加熱することで硬化します。
第2世代接着剤は油面接着性、せん断や引張りなどに対する優れた耐性、内部応力の緩和といった優れた特徴を備えていますが、一方でメタクリル酸メチルを含むものはアクリル臭が問題にもなっています。

一般的に溶剤接着と言われるタイプに膨潤接着と呼ばれる物もありますが、溶剤接着と膨潤接着を区別していない工場もあるので、ざっくり第1世代とまとめています。
水槽を製作している工場は、私が知る限り第2世代接着剤と言われる重合接着方式を採用していますが、この詳細が企業により違う事が多いようです。

キャスト板重合接着水槽の耐用年数について

アクリルキャスト板の重合接着が圧倒的に水槽に向いているのは【水圧に対する接着面の強度】と【キャスト板自体が劣化しにくい】ところにあります。
一般的に、アクリルキャスト板で製作した水槽の耐用年数は新しく製作した物で、美観、及び耐久強度を同時に保てる耐用年数が7~10年と言われますが、実際は直射日光に長時間当たる環境や、日ごとの温湿度の差が激しい所に設置する事により美観、耐久強度ともに低下してきますのでそれより短くなります。とくに一定以上の水量(100リットル以上)の水槽を一度満水にして使用してから、水を抜いた空の状態で湿度管理をしていない倉庫や野ざらしで長期間置いた場合一気に強度が低下しますので、久々に引張り出して満水にしたらいきなり決壊したという話も聞きますので、長期放置後に使用する場合、又は中古で購入する時は充分考慮して購入・使用する事をおすすめします。
新規で製作した板厚が充分な仕様の水槽を、直射日光を避け急激な温度変化を避けて常時使用している場合は、美観耐久強度共に10年以上は問題無く持つ事が多いようです。


クレーズとクラックの違い
クレーズとクラック
使用状況によるので「使用を開始してからいつ」とは一概には言えませんが、アクリル水槽を長期間使用していると接着面にクレーズという白く変色した線が入って来ます。
しかしクレーズが出たからと言って強度が急に落ちる事は無く、すぐに決壊するという事もありませんが、見栄えが悪くなるのでクレーズを見て「クラックが入った」という方を良く見かけます。
クレーズが入った状態から更に急激な水温の変動や満水⇔空の状態を繰り返すとクラックになり、そして決壊につながります。

アクリル板の薬品耐性

当店で使用しているアクリルキャスト板の薬品耐性表になります。
薬品使用時の参考にご利用下さい。

試薬  判定
硫酸 (98%)  × 
硫酸 (30%)  ○ 
塩酸 (36%)  × 
塩酸 (30%)  △ 
硝酸 (60%)  × 
硝酸 (10%)  ○ 
弗化水素 (40%)  × 
クロム酸 (40%)  × 
蟻酸 (90%)  × 
氷酢酸 (98%)  × 
クエン酸(20%)  ○ 
試薬  判定 
乳酸  △ 
シュウ酸  ○ 
無水酢酸  × 
苛性ソーダ (48%)  ○ 
アンモニア (28%)  ○ 
ホルマリン  △ 
酸素、オゾン  ○ 
メタン  ○ 
亜硫酸ガス  ○ 
塩素ガス  △ 
臭素ガス  △ 
  • 表の見方 ○:余裕 △:使えない事はない ×:止めた方が良い
    ※常温時の薬品耐性になります。低温、高温時により耐性も変動しますので、詳しくは勉強が出来る人に聞いて下さい。

一般的な素材の違い

一般的なアクリル板 強度の違い

板強度キャスト板押し出し板
引張強度[N/mm²]7.45×1057.35×105
曲げ強度[N/mm²]1.2×101.2×10
曲げ弾性率[N/mm²]2.9×1072.9×107
比重(水1に対して)1.191.19

光の透過率 熱に対する違い

素材全光線透過率熱伝導率熱膨張係数
アクリル約93%約0.2W/mK5~9(10-5/℃)
透明塩ビ約80%約0.15W/mK6~10×10-5/℃
ガラス約90%約0.8W/mK8.5~9.0(10-6/℃)

全光線透過率:いかに光をツーツーに通すかです。数値が大きいほど透明に近い。
熱伝導率:熱の伝わりやすさです。数字が小さいほど熱が伝わりやすい。
熱膨張係数:数値が大きいほど温度変化で伸びます。
仮に、アクリルや塩ビはざっくりと1mの板が20℃程度の常温から一気に60℃位迄上げると2cmちょっと伸びます。一方、ガラスは肉眼で分かる位は伸びません。
厳密では有りません。なんとなく間違っていない程度です。

主な水族館のサイズと板厚

水族館の板厚はどんな物なの?という質問をいただく事があります。
以下は有名な水族館の大まかな仕様になります。

オーダーアクリル水槽

水族館
m
高さ
m
水量
トン
板厚
mm
ドバイ32.88.310,000750
沖縄22.58.27,500600
京都108.85,400500
千葉
円形
9.37.22,200450
墨田区
大水槽
96300280
家庭用
120規格
1.20.50.310
大体は合っていると思います。

水族館の水槽はスケールが違うので板厚もおかしな事になっています。
しかしこのぐらいの板厚でないと開館時に決壊事故が発生した場合、家族連れが多い水族館での被害は大変な事になります。

水族館のアクリル水槽は家庭用の5面体水槽とはアクリル板の形式も製作方法も違うので単純比較は出来ません事をご了承ください。

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