ポンプの前に
ご自身で配管をする方からホースや塩ビ配管の質問が非常に多くなっておりますので、ポンプの前に水道ホースと塩ビ管の寸法をご説明いたします。
普通のホース(PVCホース)
ホームセンターなどで売っている一般的な水道用ホースの管径一覧になります。
購入の重要なポイントになる太さの表記は、メーカーにより型番が内径のみや外径のみ、内外径両表記だったりと様々なので店員さんに確認するのが一番です。
以下、単位は全てmm(ミリメートル)
ホース内径 | ホース外径 |
12 | 16 |
15※家庭で良く使われる太さ | 20 |
18 | 24 |
22 | 28 |
25 | 31 |
32 | 38 |
38 | 46 |
普通の水道ホースの耐圧力は0.20MPa、耐温度は0~60℃なので、観賞魚用で使用する事に特に問題はないと思いますが、耐寒や耐圧仕様のホースもあるので購入時は必ず確認しましょう。
配管に必須 塩ビ管
VP(グレー)・HI VP(濃紺) 管
主に給水用に使う塩ビ管
呼び径 | 実際の外径 | 大体の管の厚み | 厚みの誤差 | 実際の内径 |
13 | 18 | 2.2 | +0.6 | 13 |
16 | 22 | 2.7 | 16 | |
20 | 26 | 20 | ||
25 | 32 | 3.1 | +0.8 | 25 |
30 | 38 | 31 | ||
40 | 48 | 3.6 | 40 | |
50 | 60 | 4.1 | 51 | |
65 | 76 | 67 | ||
75 | 89 | 5.5 | 77 | |
100 | 114 | 6.6 | +1.0 | 100 |
「呼び径13」は、業者や店によっては「13A」と呼ばれる事もありますが、実際に塩ビ管を自分で定規で測ると18mmだったりしますので混乱しないように気を付けましょう。
また、表中の正式呼称は、実際の外径→「基準寸法」、大体の管の厚み→「最小」、厚みの誤差→「許容差」、実際の内径→「概略内径」と言います。
VU(グレー)管
主に排水用に使う塩ビ管。給水用のVPに比べ管の肉厚が薄い
呼び径 | 実際の外径 | 大体の管の厚み | 厚みの誤差 | 実際の内径 |
40 | 48 | 1.8 | +0.4 | 44 |
50 | 60 | 56 | ||
65 | 76 | 2.2 | +0.6 | 71 |
75 | 89 | 2.7 | 83 | |
100 | 114 | 3.1 | +0.8 | 107 |
125 | 140 | 4.1 | 131 | |
150 | 165 | 5.1 | 154 | |
200 | 216 | 6.5 | +1.0 | 202 |
250 | 267 | 7.8 | +1.2 | 250 |
300 | 318 | 9.2 | +1.4 | 298 |
日本産業規格(JIS ):「硬質ポリ塩化ビニル管」から引用
水槽に使用するポンプ
水を吸っては吐く。簡単に言うとそれだけの装置がポンプです。アクアメーカー各社、水処理・環境専門企業など様々な所から発売されていますが、アクアリウムでは使用出来るポンプは限られて来ます。
当店で水槽を購入頂くお客様方が主に使用されるポンプの種類は大まかに分けて4つです。
縦型ポンプ
主に上部濾過槽式の水槽に使用されるポンプ。良い点は安い、メンテナンスが楽、作りが単純なので丈夫。残念な点は水槽の上に設置するので意識高い系フレームレス水槽に乗せるには工夫と加工が必要。容量が大した事無いので濾過能力に過度な期待は出来ない。神経質な人には落水とポンプの音が気になる。
水中ポンプ
水中に設置して使用するポンプです。良い点はコレも作りが単純なので安い。水中に設置するので静音性に優れる。残念な点はモーターが水中で回転するので、水温を低くキープするには不向き。良い点も残念な点も同時に併せ持つのが、作りが単純なのでアタリを引くと恐ろしく丈夫。ハズレを引くと気持ち良い位あっと言う間に壊れるので必ず予備を1台持っておきましょう。
外部式ポンプ
主にレイアウト水槽など水槽の箱自体に観賞価値を求めるアクア中級以上の方に愛用されるポンプ。良い点は水槽内が給排水のパイプ程度しか無いので見た目が美しく見える。水草を使用するネイチャー系をやる時は酸欠状態を作りやすいので植物育成に好都合。
悪い点、設備投資の金額からすると総合的な濾過能力が頼りない。メンテナンスがめんどう臭い。メーカーは事実上ドイツのエーハイム1強。シューネン・ターク・ノック!
マグネットポンプ
主にオーバーフロー、サイドフロー式水槽に使用されるポンプ。ある程度大きいサイズの魚や水槽内に魚を群泳させたい方は大体このポンプを選択する方が多いです。良い点、水量に合ったポンプをセットすれば吸い込み吐き出し共に威力充分。シールベアリング機だとメンテナンスフリーで丈夫。悪い点、ポンプ自体が高価。大手メーカーの90cm規格ガラス水槽フルセット(縦型ポンプ付)とマグネットポンプ一個(例:イワキRMD-551)が¥35,000と、ほぼ同額。一般的に普及している熱帯魚用ポンプと比べると音が猛烈にうるさい。配管をするのにある程度DIYの知識や工具が必要。
番外 投げ込み式フィルタ
ポンプはポンプでも空気を送るだけ。でも初心者にもプロにも大人気。通称「ブクブク」
極端な話、水槽は総水量が何より大事なので水量さえ確保してしまえばパンチの効いたデカいブクブク(水作ジャンボ)一発でOK。
良い点、安い・簡単・頑丈、見た目がダサカッコイイ。
残念な点、ブクブク言うだけなので物理濾過、生体濾過、共におまじない程度の能力。但し、総水量や設置方法を確保、工夫してエアリフト式のデカい設備を作り物理→生物濾過の流れを作る工夫次第で高性能。
でも主要ポンプフィルタに加え補助的に使用する方が多いです。
中型、大型サイズの水槽で多く使用されるポンプ
以下は、当店の水槽販売実績からセットでご要望頂いたポンプ群になりますので、小型魚水槽、レイアウト水草水槽用とは異なると思います。
W900~1200mm水槽の上部濾過槽用 | カミハタリオ+、エーハイムシリーズ、コトブキコアパワー、レイシー縦型P、※1)その他 |
W1500mm以上の上部濾過槽用 | レイシーP450 |
それ以上のオーバーフロー水槽用 | ※2)レイシー、サンソー共に流量60L/min以上のポンプ |
※1)エーハイム、ニッソー、GEXの外部フィルタを使用している方もおられる様ですが、主に最大サイズが中型までの魚を飼育している様です。
※2)配管に流量調整コックを付けて絞って使用される事が多い様です。
上部濾過槽の水中ポンプやオーバーフロー水槽のマグネットポンプを選ぶ時の基準は、説明書(仕様書)の、1分間あたり何リットルの水を吐き出せるかの最大流量「〇〇L/min」と、ポンプの位置から水を何cm上に汲み上げられるか最大揚程「〇〇cm」に注目して下さい。
「〇〇L/min」=(総水量×7)/60で大体欲しい吐出量のポンプはこの辺かなという感じになり、「〇〇cm」=ポンプから水槽の水面にしたい位置より上の高さ(※図A)になります。
製品により東日本用50Hz/西日本60Hzで周波数や最大揚程が違うので、店舗や通販で購入する時は必ず確認しましょう。
※図A
ポンプの製造、販売主要メーカー
中型サイズ以上になる魚を飼育する場合、縦型、水中、マグネットの3択になる方が多いです。外部フィルタで行けない事も無いですが、中型サイズ以上になる魚、特に混泳をさせた場合はフン等の量が多くなり飼育水を強烈に汚すので頻繁に物理フィルタの掃除をしなければならない為、正直外部はお勧め出来ません。
外部式フィルタはCO2添加が必要な水草水槽、強い水流を好まない小型魚のブリード、レイアウト水槽等の上品なアクアリスト向けと思って頂いて結構です。出来ないとは言っていませんが、「私は近所でもかなり几帳面でマメで神経質な性格だと評判だ」と自分で言い切ってしまえる位の人じゃないと無理です。少なくとも私には無理です。勿論、メンテナンスをマメにやれる人なら大丈夫です。
以下は、フィルタを発売している各メーカー、通販サイトへのリンクになります。
■メーカーサイト■
安くて丈夫・安心安定と言えば、初心者から上級者まで万遍なくアクアリストに愛されるこのポンプ。
熱帯魚が趣味の人にはレイシーの方が通りが良いですが、千代田区神田の株式会社イワキです。
兵庫県のポンプメーカー。社是は「愛と感謝と積極性。」だそうです。
個人的にここのヒーターとサーモは一番信頼出来ると思っています。フィルタは底面から外部、OF用と豊富です。
こちらも信頼度の高いヒーターを作っているニッソー。本体がペット業界大手のマルカンなので商品群は豊富です。
GEXも投げ込み~外部まで豊富。
スペクトラムがどんな意味なのかは知りませんが、テトラもフィルタが豊富です。
ドイツ製外部式ポンプメーカー。90cm水槽位迄なら信頼度抜群。水中ポンプも有ります。
海水魚や珊瑚をやる人達には好評のレッドシー。イスラエルが本社らしいです。
白米と日本酒が名産品の県からエグゼクティブでスタイリッシュなフィルタを貴方へ。
アクアデザインアマノ
◆通販サイト◆
たぶん日本で一番アクアリウムの品揃えが良いネットショップ。外部式ポンプページへ直行するので、一通りメーカーサイトを見たらここで実売価格を見られます。
チャーム外部式
ポンプその他ろ過装置に関しては、大手ネット販売サイトの小売り価格が我々の仕入れ値と同等、むしろ安い時が多々有りますので、アマゾンや楽天で買った方が金額的に得な事が多いです。しかし、主に個人経営をしている熱帯魚屋で飼育用品を購入すると、飼育している生体達と購入した備品の相性等、分からない事がタダで聞けるというネットで購入する金額より多少高くても、それを補って余りあるメリットもありますので、そこは個人の判断になります。
終わりに
以上が、極めてざっくりとしたポンプの説明になります。
各メーカーのサイトには推奨水槽サイズというのが記載していますが、あれは水量に対してのポンプ能力で「何の魚が何匹入るか」迄は想定していないので、生き物を過密に入れてしまうと参考になりません。よって「推奨サイズのポンプで生体を単独飼育だと無理が無い」と覚えておくと間違いは少ないと思います。
水族館の混泳水槽の様に、生体を群れで泳がせたい場合は、濾過槽の容量を通常よりもかなり大きく、ポンプは推奨サイズよりも強いポンプを選択しないとなりません。
個人的な経験だと、総水量と濾過器の能力で処理出来る範囲を超えない限りは、壊れずに水が回ってくれれば大丈夫です。頑丈なのが一番。