アクリル板の種類

当店の大型アクリル水槽は、全て国産キャスト板を使用しています
アクリル板の種類による違い
日常生活で見かけるアクリル板は、ほとんど押出アクリル板の事が多いです

押出板
・曲げ等の熱成型がしやすい
・交差が小さい(大まかに言うと誤差が小さい)
・同精度の同じ物を数多く作るのに向く
・接着溶剤での接着が可能
・室内用途で精密さを求められる製品に向く
・薄い板はキャスト板に比べお求めやすい価格
主な用途:屋内用展示ケース、装飾パーツ、間仕切りなど

キャスト板
・押出板に比べ切削加工がしやすい
・交差が大きい(大まかに言うと誤差が大きい)
・高精度を求めると研磨作業で人件費が高額に
・押出溶剤接着に比べ重合型接着剤は接着面が強い※
・耐久性を求められる用途に向く
・厚い板は押出板に比べ高額
主な用途:看板、屋外照明カバー、船舶の窓など
※キャスト板で使用される重合型接着は、押出板の溶剤接着と比べ接着強度と耐久性が高い(大型水槽にキャスト板の重合型接着が使われる理由はこの点に尽きます)
また、重合型接着の中でも一液重合接着は大がかりな設備を必要とし、接着作業にも熟練を要するので商品価格も高額になります
一般的なアクリル板の強度の違い
| 板の強度 | 押出板 | キャスト板 |
| 引張強度[N/mm²] | 7.35×105 | 7.45×105 |
| 曲げ強度[N/mm²] | 1.2×10 | 1.2×10 |
| 曲げ弾性率[N/mm²] | 2.9×107 | 2.9×107 |
| 比重(水1に対して) | 1.19 | 1.19 |
以上のように、押出、キャスト共に板そのもの自体に大きな強度の差はありません。
大きな違いは高熱が発生する加工に対してキャスト板の方が高温に耐えられる事と、接着方式の違いによりキャスト板の方が接着面が強い所です。
押出板とキャスト板の見分け方

提携している樹脂加工の工場は口を揃えて「板メーカーの品名、品番がプリントしてある保護紙がついている状態(新品の元板)じゃないと見分けるのは無理」と言います。
破損時に接着面などの裂け方や壊れ方を見れば判別可能ですが、壊れてから分かっても意味がないので、肉眼で見分けるのは実質不可能と思った方が良いです。
大手量販店などで見かける60cm以下のサイズで板厚4~5mmの小型水槽は、加工性やコスト面から押出板で製作した商品が多いと思います。
メダカ専用で売られている20cmサイズ以下の樹脂製水槽は「PP」と呼ばれる透明プラスチック製が多く、箱の継ぎ目が見えないのは型抜きで作っている為です。
強い水圧がかからない商品に必要以上の強度は不要なので、押出板でもPPでも普通に使う分には問題ない商品が作れます。
どちらの板が良い悪いの優劣ではなく、用途に応じて使い分ける事が大事です。
アクリル板の美観に関しては押出板もキャスト板も変わりません
アクリル板の接着方式
第1世代(FGA)一般的に溶剤接着と言われます(通常、アクリル接着剤と言えばこれ)
硬化剤から構成されますが、硬化時に化学反応が起こらない接着剤。
第2世代(SGA)一般的に重合接着と言われますが複数の種類があります。
第1世代とほぼ同じ組成からなりますが、モノマーとポリマー間の重合反応により硬化が起こるのが第2世代です。
接着、耐久性が第1世代より優れています。
第3世代(TGA)生長重合接着
紫外線や電磁波を照射する事でラジカル重合反応を開始し硬化させます。
おもな用途は電子部品や液晶パネルなどの接着。
第2世代接着剤は、二液型・一液プライマ型・一液型に分類されます。
二液型はA剤(重合開始剤)、B剤(硬化促進剤)の2液から構成されますが、主成分は基本的に同一でアクリル系モノマーとエラストマーから構成されます。
一液プライマ型は二液型の硬化剤をプライマに置き換えたもので、二液型と同様にラジカルが発生して硬化が進みます。
一液型は加熱により活性化する触媒が添加されているタイプであり、加熱することで硬化します。
第2世代接着剤は油面接着性、せん断や引張りなどに対する優れた耐性、内部応力の緩和といった優れた特徴を備えていますが、一方でメタクリル酸メチルを含むものはアクリル臭が問題にもなっています。
一般的に、溶剤接着と言われる接着方式に膨潤接着と呼ばれる物もありますが、溶剤接着と膨潤接着を区別していない工場もあるので第1世代と纏めています。
アクリル水槽をキャスト板で製作している工場の多くは、私が知る限り第2世代接着剤を採用していますが、一液型・一液プライマ型・二液型の何を使用しているかは企業により違い、本重合接着と呼ぶ工場もある一液重合接着が重合型接着方式の中では最も強い接着力になります。
【補足】 一液重合接着は、他の重合方式よりも接着面の経年劣化に対しては抜群の強度と耐久性を持ちますが、中型サイズ以下の水槽には不必要な強度という事と他に多く使用されている重合型接着方式よりも高額な費用になります。
他の重合型接着は主剤と助剤の調合比率を企業秘密にしている工場が多く、接着面の劣化速度詳細は不明です。
アクリル水槽の耐久性
大型水槽は満水で長期間使用していると板が水圧で膨らんできます。
アクリル自体に弾性があるので多少は膨らむのが当然ですが、水深が深い水槽は板の厚みが足りないと肉眼で分かる位に膨らみます。
膨らむ=即壊れるという事はありませんが、生き物が入る箱なので膨らみが目視では分からない程度の安心感がある板厚をおすすめします。
また、アクリル水槽はキャスト、押出板に関わらず、夏冬に使用する冷暖房による急激な室内の温湿度の変化や、乾燥した状態で極度の冷、温水を入れると接着面の耐久性が一気に下がりますので急激な温湿度の変化は与えないように注意しましょう。

板厚は接着面積に直結するので板が厚いほど水圧による決壊の心配は低くなりますが価格も増します。
また、一液重合接着は接着面が裂ける事はほぼ無い位に強力な接着力ですが、代わりにアクリル板自体が伸びるので、「圧力がかかる実験に使うので板が伸びきっても破裂しないで欲しい」等の厳しい条件が無い限り20mm以下の薄い板にはあまり意味が無かったりします。
クラックとクレーズの違い

使用状況によるので「使い始めてからいつ」とは一概には言えませんが、アクリル水槽を長期間使用していると押出、キャスト通常重合接着どちらでも接着面にクレーズという白く変色した線が入って来ます。
いきなりクラック(亀裂、又は裂け目)が入る事はまずありません。ほとんどの場合クラックでは無くクレーズ(簡単に言うと白変色)の事が多いです。
クレーズが入る主な原因はクリーナーに含まれるシンナー、アルコール等の成分が接着面に付着したり、接着面に過度な力(普通に使っている場合はほぼ無いです)をかけるとクレーズが出る事が多いです。
クレーズになったからと言ってすぐクラックになる事はありませんが薬品入りの洗浄剤は使用せず、水で絞った柔らかい布で掃除する様にしましょう。
また、クレーズが入った状態から急激な水温の変動や満水⇔空の状態を繰り返すとクラックになり、そして決壊につながります。
尚、アクリル水槽は長期間使用する事により接着面のクレーズは必ず出て来ます。
当店推奨仕様の通常の重合型接着で製作したキャスト大型水槽をご利用頂いているお客様から決壊したという話は今のところ伺っておりませんので、少なくとも通常範囲内での使用ならば10年程度は持つと思います。(2013年からのデータになります。)
「一液重合接着」は素材同士を「同化」させますので、上記の「接着」によるクレーズ、クラックが起こる事はまずありません。
しかし、接着工程上、気泡は入ります。
主な水族館のサイズと板厚
水族館の板厚はどんな物なの?という質問をいただく事があります。

以下は有名な水族館の大まかな仕様になります。
| 水族館 | 幅 m | 高さ m | 水量 トン | 板厚 mm |
| ドバイ | 32.8 | 8.3 | 10,000 | 750 |
| 沖縄 | 22.5 | 8.2 | 7,500 | 600 |
| 京都 | 10 | 8.8 | 5,400 | 500 |
| 千葉 円形 | 9.3 | 7.2 | 2,200 | 450 |
| 墨田区 大水槽 | 9 | 6 | 300 | 280 |
| 120cm規格水槽 | 1.2 | 0.5 | 0.3 | 10 |
| 大体は合っていると思います | ||||
水族館の水槽はスケールが違うので板厚も桁違いのスケールになっています。
しかしこの位の板厚がないと水圧に耐えられないと思われます。
水族館のアクリル水槽は一般的な水槽とはアクリル板の形式や製法も違う為に単純な比較は出来ない事をご了承ください。
関東圏内でお勧めのプチ水族館
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→◆板橋区立 熱帯環境植物館
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→さいたま水族館(羽生水郷公園内)
→◆さいたま水族館公式Instagram
→◆公式X
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